新潟県を中心に45店舗を展開するスーパーマーケット「ウオロク」。
品質へのこだわりと地域に根ざした品揃えで、多くのファンに親しまれています。
精肉・惣菜・鮮魚・青果などをカバーするプロセスセンターを保有し、
高度な加工体制を整えています。
今回は、精肉部門の現場を束ねる 製造課阿部係長に、プロセスセンターの運営と、
ゼウス導入の背景と、その位置づけについてお話を伺いました。
1.導入企業概要 【一日平均4.3万パックの生産規模】
まずこちらのセンターについて教えていただけますか?
阿部様
はい、こちらは株式会社ウオロクの生鮮デリカセンターです。
2022年7月に稼働を開始し、今年で丸3年を迎えました。
業務内容としては、精肉・惣菜・鮮魚・青果と幅広くカバーしています。
精肉では、1日平均4.3万パック、ピーク時には7万パック程度の生産規模です。

(写真)新潟県新潟市 株式会社ウオロク、生鮮デリカセンター
稼働から3年とのことですが、PCを設立された背景はやはり人手不足が大きいのでしょうか?
阿部様
はい、そのとおりです。
店舗ではスライサーを扱える人材の確保が難しくなり、
インストア加工からセンター加工中心へと舵を切りました。
しかし既存センターには生産能力の限界があり、
24時間フル稼働でも一日2万パック弱が上限でした。
そこで、もう一つのセンターと統合し、生産能力・品目の拡張を行いました。
もう一つの目的は、原料の最適活用やロス削減といった歩留まり改善です。
店舗ごとに加工していた際には使い切れない原料が発生してロスが多くなっていましたが、
センターで集中加工することで改善を図りました。
これらはいずれも着実に効果を上げています。
2.ゼウス導入の背景 【重量精度と汎用性を兼ね備えた機器を】
ゼウス導入を検討された背景について教えてください。
阿部様
旧機「リブラ165C」の更新と、生産量増加にともなう機械リソースの再構成が背景です。
当センターとしては、「ピーク時にも安定稼働できること」と、
「品種への柔軟な対応が重視され、その両立を実現できる機器として
ゼウスが最適だと判断しました。
当センターはアウトパック機能に加え、惣菜部門への原料供給機能も担っています。
特に、とんかつ原料の定量スライスが多く、以前はなんつね様のリブラ165Cを使用していました。
冷凍からチルド原料に切り替えた際に導入し、こだわりのとんかつはヒット商品となりました。
リブラには大いに助けられましたが、処理量増加に伴い、
さらに高い処理能力を持つスライサーの導入を検討する時期となりました。
また、薄切りアイテムに対応するジュピターⅡもフル稼働の状況で、
両者を補完できる汎用性の高いスライサーを探していました。
そんな折、FOOMAでゼウスのデモを拝見し、
弊社の要件に合致すると感じ、持込デモをお願いしました。
デモに際して重視したポイントは?
阿部様
当初から想定していた用途は「とんかつ定量カット」がメイン、「薄切りアイテム」がサブです。
第一に重視したのは定量性で、1枚定量カットの重量精度が従来のリブラ165Cと比較してどうか。
薄切りパック定量の精度も重要で、ゼウスの強みはそこにあると考えました。
第二は汎用性です。とんかつカットに加え、ジュピターⅡで行っている薄切りアイテムを
どこまで代替できるか。
つまり「とんかつを切る機械」という枠を超え、
「センター全体の生産バランスを支える戦力となるか」が最大のポイントでした。

なるほど、では、実際にデモを見た感想はどんなものでしたか?
阿部様
インタビューだから言うわけではありませんが、ちょっと感動しました(笑)
感動ですか!? 具体的には?
阿部様
やはりデュアルレーンですね。二本同時に定量カットできる点は驚きでした。
リブラは一本ずつのスライスだったので、1枚定量が多い弊社にとっては
導入効果が大きいと感じました。
重量精度もリブラ165Cと同等か、むしろ少し良いくらいでした。
(※デュアルレーン二本投入はゼウスデュアルのみ対応)
とんかつの一枚定量はデュアルで生産性が向上し、重量精度も問題なかったという事ですね。
では、とんかつ以外のスライス、汎用性の部分はどうでしたか?
阿部様
展示会でも確認しましたが、パック定量はさすがの性能だと感じました。
さらに、並びの良さが生産性に大きく影響することを改めて実感しました。
ジュピターⅡでは並びが乱れるアイテムもあり、重量調整や手直しが必要でしたが、
ゼウスならトレイ寸法に合わせて綺麗に並び、そのまま盛り付けるだけで商品化できます。
これは大きな強みだと思いました。

(写真)豚ロース肉、二本投入の様子
3.導入効果と課題【盛付作業、重量チェックの手間が削減!】
ゼウスを導入したことで現場の変化はありましたか?
阿部様
もちろん、とんかつの生産速度が2本投入で大幅に向上しましたが、
それ以上に薄切りアイテムでの改善効果が大きいと感じています。
ジュピターは定量機能がなく、並びも乱れる場合があったため重量調整や手直しが必要でした。
しかしゼウスはそのまま盛付けるだけで済み、
重量チェックも数枚に1回の抜き取りで十分になりました。担当者からも好評です。


(写真左)ジュピターⅡの鱗列排出の様子
(写真右)ゼウスの鱗列排出の様子
導入後に「もっとこうだったら」と感じる点はありますか?
阿部様
処理能力がさらに高まると嬉しいです。
現在、豚バラは最高速200枚/分で処理していますが、
盛付作業が簡単すぎて大パックの場合は手待ちが発生します。
小パックではちょうど良いですが、もう少し処理能力が上がればさらに良いと思います。
また、重量精度についても課題があります。総菜部門に供給するとんかつ原料は
120~135gと決まっており、重量ではなく1枚当たりの単価で販売するため
精度は利益に直結します。
120gを下回ると使用できず、逆に重すぎると利益を圧迫します。
お客様は喜ぶかもしれませんが(笑)。
そのため、重量精度がさらに向上するとありがたいですね。
4.ウオロクのこだわり 【とんかつ1日3000枚以上!】
最後にウオロク様のこだわりについて教えてください。
阿部様
ゼウスのインタビューだからではないですが、
とんかつについてはこだわっています!
新潟県民には
「これがウオロク品質!」のテレビCMでお馴染みですね。
こだわりポイントを教えてください。
阿部様
「極うま柔らかとんかつ」という商品名で販売していますが、こだわりは多岐にわたります。
まず原料は、バイヤーが目利きして仕入れた豚ロース肉を使用し、
その中でも赤身と脂身のバランスが良い部分だけをとんかつ原料にしています。
加工はチルド温度帯にこだわっています。
かつては冷凍原料を使用していましたが、より美味しいとんかつを提供したいという思いから
チルド加工へ切り替えました。
そのタイミングでリブラと出会い、現在はゼウスに進化し、
良い巡り合わせを感じています(笑)。
さらに、店舗で一枚ずつ丁寧にパン粉をつけ、揚げたてを提供することにもこだわっています。
https://www.uoroku.co.jp/service/quality/tonkatsu.html
もっと簡単なオペレーションにしたい気持ちもありますが、バイヤーが譲らないんです(笑)。
そのこだわりが伝わっているのか、1店舗あたり毎日70枚以上売れるヒット商品になっています。

(写真)ウオロク様の人気商品「極うま柔らかとんかつ」
ウオロク様、阿部係長、ありがとうございました!
スライスを見ていたら食べたくなってきました。
今日の夕食は決まりですね(笑)。
5.編集後記
取材中、最も心を打たれたのが、着替え室で活躍する清掃ロボットでした。

ロボットには「お掃除係」というラベルと共に、こう書かれていました。
「迷子になることがあります。見つけたらお家に戻してあげてください。」
充電ステーションには「休憩室」と記されたラベルも。
機械も“職場の仲間”として見るユーモアとやさしさがにじみ出ています。
こうした“仲間”へのまなざし、「人の温度感」こそが
ウオロク様の真の強みなのかもしれません。
それがチームワークや商品づくりの姿勢、
そして「ウオロク品質」に自然とつながっているのだと感じました。
美味しいとんかつごちそうさまでした!
メンチカツもおいしかったです!

株式会社ウオロク
製造課 精肉担当係長 阿部様(写真右)
弊社
CS本部 新潟店店長 木津(写真左)